4.憂鬱

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  「最初は放置してたんだろ。気になるなら、仲裁もしてみたらどうだ。そうしたらどっちがいいか判るだろ」 「……けど、離婚話の仲裁なんて、荷が重くない?」 「決めるのはお前じゃない。親の間にお前を置いてみることで、親も考えが変わるかもしれない、変わらないかもしれない」 「言いたいことは判るけど」  自分自身の恋愛からもぶっちぎって逃げ続けたことのある身としては、話し合いのその場にいることさえ耐えられないような気がしてくる。  あたしがそう口にすると、額田は「妙なところで自分のこと判ってんだな」と大笑いに近い笑いを漏らした。  それがちょっと不愉快で、大げさな溜め息をついてやる。 .
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