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「平行線の話し合いには、冷静な第三者の見方が必要な時もあるからな。ま、マナミは第三者ではないだろうけど」
「うー……他人のことなら、あたしもそう思うけど」
「どう転んでもマナミの責任じゃないって。親だって人間なんだから。それを見極めてやるのも、大人になりつつあるガキの仕事じゃないか」
矛盾したことを言いながら、額田の言葉に頷く自分がいた。
まぁ、平たく言えば面倒臭いだけなんだってことは、自分でもよく判ってる。
ずっと平和にやってきたのに、今さら夫婦解消とか何なの、って感じで。
「額田先生、こんにちは」
素早いノックの後、勢いよくガラリと戸が開かれた。
そこに立っていた人物に、あたしは一瞬ぎょっとする。
「……あれ、マナミさん、いたんですか」
──ヒトシ、くん。
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