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額田は一瞬だけこっちを見て、驚いたあたしをそのままに、机の横に置いてある椅子を出しながらヒトシくんに手招きした。
「入れ、入れ。今、マナミが参ってるから、チャンスだぞ」
「ちょっと、額田」
「本当ですか? 何の話だったんです?」
前言撤回。
どこが、口が堅いんだよ。
何だか楽しそうに入ってきたヒトシくんはしっかり戸を閉めると、額田の出した椅子に腰かける。
びっくりしたけど──ヒトシくんと会うのは、そう久しぶりじゃなかったりする。
ここで会うのは、ヒトシくんとの別れを決定的にしたあの日以来だけど。
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