4.憂鬱

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   額田は一瞬だけこっちを見て、驚いたあたしをそのままに、机の横に置いてある椅子を出しながらヒトシくんに手招きした。 「入れ、入れ。今、マナミが参ってるから、チャンスだぞ」 「ちょっと、額田」 「本当ですか? 何の話だったんです?」  前言撤回。  どこが、口が堅いんだよ。  何だか楽しそうに入ってきたヒトシくんはしっかり戸を閉めると、額田の出した椅子に腰かける。  びっくりしたけど──ヒトシくんと会うのは、そう久しぶりじゃなかったりする。  ここで会うのは、ヒトシくんとの別れを決定的にしたあの日以来だけど。 .
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