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「マナミんちの親、揉めてるんだとさ」
「ちょっと額田」
「揉めてる? 離婚するかも、ってことですか?」
ヒトシくんがキョトンとした顔であたしを見る。
あたしは声を発することなく頷いて、窓の外を見た。
「ほっといた方がいいのか、話くらい聞いてあげた方がいいのか、額田に訊いてみたの」
「そうですか、それはちょっと心配になりますね」
「なんで?」
「だってマナミさん、すぐに情緒不安定になるから……」
クッ、と喉を鳴らして額田が笑う。
「何だお前。元彼にまで心配させてるぞ」
「あんたが余計なこと言うから……」
ムッとして額田に文句を言ってやろうとしたら、静かな保健室に能天気な着うたが流れ出した。
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