4.憂鬱

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   生ぬるい風が抜けて行く廊下に、あたしとヒトシくんは取り残された。  ええと、どうしよう。  言葉に困っていると、ヒトシくんはあたしを振り返った。 「マナミさん」 「えっ、あ……何……?」  ヒトシくんはニコリ、と微笑んだ。  いつもの通り、優しい笑顔だけど、でも。  彼の見せる顔は決してそれだけではないことを、あたしはとっくに知っている。 「予定、ないですよね? どっか、行きませんか」 「えっと、でも、あたし……」  ヒトシくんが何を言い出すか判ってたくせに、その対応策を打ち出していなかった自分に、自分でがっかりした。  そんなあたしを、ヒトシくんは逃がすまい、という感じで見つめてくる。  口元は笑っているけど、目が笑っていない。  これが最近の彼の特徴だった。 .
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