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「はいー?」
『……』
「もしもしー? 誰ー」
かけてきたくせに、一言も話さない。
それだけで不愉快になるっていうのが判らないの。
ただ無言なんじゃなくて、完全にこっちの様子を窺っている、そういう空気が伝わる。
軽く舌打ちをしたくなるのを何とかこらえて、家が見えてきたのを確認しながらあたしは努めて明るい声を出すことにした。
「誰? イタズラなら、切るよ?」
すると。
『……あの! 待って……ごめんなさい。翠川さん、よね?』
少しハスキーな女の子の声が、掠れて聞こえた。
あたしはその声に聞き覚えがなくて、思わず立ち止まる。
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