6.落涙

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  「そうだけど、誰?」  ごめんなさい、の理由がよく判らないけど、声から伝わる緊張で、何となくあたしが優位にいることを悟った。 『あの……あたし、同じ高校に通ってた水沢』  水沢……愛理(エリ)。  それを聞いただけで携帯を道端に投げ捨てたくなるあたしは、気にし過ぎなんだろうか。  かたかたと、指先が震える。  だって、何なの?  水沢エリがあたしの携帯にかけてくるなんて、何事なの?  っていうか、どうしてあたしの番号なんか知ってるの?  昨夜ヒデオが妙な嘘をついて姿を消してたことと、今水沢エリがあたしの携帯に電話を寄こすことと、無関係な気が全然しない。  むしろ疑惑は深まるばかりじゃないか。 「……その水沢さんが、あたしに何の用なの?」  尖った声が出た。  そうしようと思って口を開いたら、思った以上に冷たい声が出て、あたしは一瞬心の中でガッツポーズをする。 .
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