7.滑落

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   ショックを受けながらも、あたしは水沢エリの話に納得していた。  そりゃ、付かず離れず、男と女の付き合いがズルズル続くはずだよ、って感じで。  そこまで聞いてしまえば何となく予想が付く。  ヒデオのお父さんは、彼と水沢エリをまとめてしまおうとしているってことくらい。  そしてあたしに電話をしてきてこんな話をする水沢エリは、ヒデオのことが好きなんだろう──ってこと、くらい。  あたしは、水沢エリが肝心なことを言おうとした瞬間、携帯の電源を落とした。  判っていることは、聞きたくない。  判っても、「あなたが邪魔なの」なんて、死んだって言われたくない。  世界中で、あの女にだけは。 .
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