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「そんなにムキにならなくても」
「どっちだっていいです! あたしの話、聞いてくれるんでしょう?」
「そのつもりだけどね、でも」
逆に手を取られて、西門さんはあたしに顔を寄せて来た。
さすがに、それはわざとなのだと判ったけど。
「でも、話をするの、
俺でいいの?
昨夜の男友達とか、他にも女友達とか──
いないわけでもないだろうに」
言われて、あたしはみんなの顔を思い浮かべた。
サナや額田は、きっとあたしをこき下ろすだけだし。
ためになる話をあの2人はいつもしてくれるけど、正しいからこそ頷けないこともある。
ヒトシくんだと、またおかしなことになってしまいそうだし。
何度も寝たことがある間柄なだけに、彼に触れられたら今度こそ逆らえない。
ジンやマドカは、ヒデオとあたしを知り過ぎだし。
聞き上手な彼らに、これ以上さらけ出してしまうのは無様な気がする。
親しいからこそ、言いたくないこともある。
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