6.落涙

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   それを聞いて、あたしの思考回路は痛みの合間をぬってようやく動き始める。  痛むこめかみを押さえながらゆっくりと起き上がると、奥の部屋から物音が聞こえた。 「あ、家の人、奥で寝てるって言ってたから、そろそろ起きたのかも……」  ジンが眼鏡をかけながら、奥の部屋のドアを指差す。  見ると、ちょうど絶妙なタイミングでそのドアが開いた。  ヒデオに負けず劣らず長身のその人は、ひと目で水商売の人間だと判る雰囲気をまとっている。  その人は、起き上がっているあたし達に気付くと、ニコッとほほ笑んだ。  ちょっと怠そうな色気があって、でも笑うと何だか子どもみたいだな、と思った。 「具合、どう?」  話すだけで、女が落ちそうな声だな、とも。 .
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