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いきなり立ち上がるのは出来そうになかったから、あたしは慌てて乱れた髪を整えると、そのままぺこり、と頭を下げる。
「おはようございます。あの……お世話になったそうで……ホント、すみません」
「昨夜はありがとうございました。あのままだったら、野宿でした」
一緒にジンも頭を下げ、彼はそのまま立ち上がった。
男の人はいやいや、とかぶりを振ると、軽く頭を掻く。
「いや、いいよ。座ってて。何か飲むか? 用意してあげるから」
「あ、いいんですか。手伝いますよ」
「お客さんなんだから、いいんだよ」
言葉だけでジンを押し留めると、その人はあたしに視線を移した。
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