6.落涙

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  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚  見た目通り、西門さんは長年ホストをしていて、今はちょっと敷居の高いクラブを経営している──そういう大人だった。  道端で酔い潰れている若い子を拾って面倒を見るのは日常茶飯事で、趣味みたいなものだと言っていた。  それでも、こうして部屋に上げるのは初めてだったみたいだった。 「潰れてるのは彼女か」と訊いたらジンがきっぱりと違う、と答えたので、ラブホテルに押し込むのもどうかと思ったらしい。 「愛美ちゃん、だっけ? 向いてそうなんだけど、ウチでバイトしてみない? いいヘルプになれそうだ」  西門さんは冗談めかしてそう言うと、名刺をくれた。  お店用の名刺だったけど、裏にプライベート用のナンバーとアドレスを書いてから。  ジンもそれを受け取っていた。 .
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