9.決壊

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  「……またかよ。何なんだ、お前」 「ちが……酔って動けなくなってて、助けてもらって……」 「……嘘くさ」 「……ホントだって……」  小さく息を吐きながら、あたしはヒデオの胸に顔をすり付けた。 「……クラブの経営してる人で……その人のお店の事務所で、休ませてもらったんだよ」 「この匂いはそれだって言いたいの?」  声に出さず頷くと、一応ヒデオはそれを信じてくれたようだった。  暗がりであたしの顔を覗き込みながら、ヒデオは少し難しい顔をする。 「で、他人に助けてもらわなきゃならないくらい飲んだ原因は、何なんだよ」  怒るでもなく、疑うでもなく。  心配と苛立ちの入り混じったヒデオの瞳には、あたししか映ってなかった。 .
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