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「……またかよ。何なんだ、お前」
「ちが……酔って動けなくなってて、助けてもらって……」
「……嘘くさ」
「……ホントだって……」
小さく息を吐きながら、あたしはヒデオの胸に顔をすり付けた。
「……クラブの経営してる人で……その人のお店の事務所で、休ませてもらったんだよ」
「この匂いはそれだって言いたいの?」
声に出さず頷くと、一応ヒデオはそれを信じてくれたようだった。
暗がりであたしの顔を覗き込みながら、ヒデオは少し難しい顔をする。
「で、他人に助けてもらわなきゃならないくらい飲んだ原因は、何なんだよ」
怒るでもなく、疑うでもなく。
心配と苛立ちの入り混じったヒデオの瞳には、あたししか映ってなかった。
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