9.決壊

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  「……昨夜、ヒデオと連絡つかなかったから」 「仕事先の人間と飲んでるって言っただろ」 「でも、ジンはヒデオはあたしといる筈じゃなかったのかって、そう言ったよ」  ギクリ、と。  今度はヒデオの身体が硬直するのが判った。  抱きしめる腕の力が弱くなったヒデオ。  今度はあたしが彼の腰を強く引き寄せる。 「……嘘ついたヒデオに怒ってたら、昨夜ジンが飲みに連れてってくれたの。今日はひとりでフラフラ出かけたけど」  ヒデオの困惑が伝わって来た。 「ジンは何も言わなかった?」 「……何かあるようなそぶりはあったけど」 「ジンのこと、怒んないでね。何でヒデオといないの、ってポロッと言っただけだから」  顎を掴まれて上を向かされる。 .
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