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あたしが正直にそう言うと、ヒデオは「あの馬鹿……」と小さく舌打ちをした。
どうやら男どもの間でも、それはナイショの話だったらしい。
そのナイショの話を、青柳がどうしてあたしにしたか、なんていうのは愚問もいいところなんだろう。
聞く限り、見てる限り、青柳は周りにいる人間をとても大事にしてる。
あたしなんかのことでヒデオとジンがいがみ合う……なんて展開は、青柳からすれば、何としても阻止しなければならないことなんだろうから。
「……マナミ」
あたしが考えている間、ヒデオは別のことを考えていたらしく、チラリと横目で見てきた。
「お前、一昨日のことで腹立てて、昨夜どっか消えたの?」
「……」
「俺のこと疑って、顔見るのも嫌だった、ってわけ?」
「そういうんじゃない」
「何ですぐに、俺に訊かなかった?」
そう問われても、はっきりとした答えなんて返せない。
あたしが俯くと、ヒデオはまたチッ、と舌打ちをした。
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