10.自嘲

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   あたしが正直にそう言うと、ヒデオは「あの馬鹿……」と小さく舌打ちをした。  どうやら男どもの間でも、それはナイショの話だったらしい。  そのナイショの話を、青柳がどうしてあたしにしたか、なんていうのは愚問もいいところなんだろう。  聞く限り、見てる限り、青柳は周りにいる人間をとても大事にしてる。  あたしなんかのことでヒデオとジンがいがみ合う……なんて展開は、青柳からすれば、何としても阻止しなければならないことなんだろうから。 「……マナミ」  あたしが考えている間、ヒデオは別のことを考えていたらしく、チラリと横目で見てきた。 「お前、一昨日のことで腹立てて、昨夜どっか消えたの?」 「……」 「俺のこと疑って、顔見るのも嫌だった、ってわけ?」 「そういうんじゃない」 「何ですぐに、俺に訊かなかった?」  そう問われても、はっきりとした答えなんて返せない。  あたしが俯くと、ヒデオはまたチッ、と舌打ちをした。 .
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