10.自嘲

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  「……今ここでやりたくなるから、マジで。お前のこと、そんな風に扱いたくない」  ヒデオの言葉で、あたしは2度目にヨリを戻したときのことを思い出した。  人気のないところだったとは言え、ヒデオは道端に車を停めて、違う女と抱き合ってた。  あの時ヒデオは、その女のことをあたしの代わりだって言ってた。  つまりは、どう扱おうが気にしない、ってことだったんだろう。  その時の咄嗟の言葉なんて、言ったヒデオはいちいち覚えてないだろうけど、今あたしの中ではっきりした。  あたしだけは、他の女と違うんだ、ってこと。  ……そんなの、前から判ってたことだけど。  どうして女は、定期的にそう言って貰わないと気が済まないんだろう。  例えば「あたしのこと、好き?」なんて訊く時だって、その質問を一番馬鹿馬鹿しく感じているのは、訊かれた男じゃなく、訊いた女本人なんだ。  判ってるのに、どうしてだろう……。 .
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