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「……今ここでやりたくなるから、マジで。お前のこと、そんな風に扱いたくない」
ヒデオの言葉で、あたしは2度目にヨリを戻したときのことを思い出した。
人気のないところだったとは言え、ヒデオは道端に車を停めて、違う女と抱き合ってた。
あの時ヒデオは、その女のことをあたしの代わりだって言ってた。
つまりは、どう扱おうが気にしない、ってことだったんだろう。
その時の咄嗟の言葉なんて、言ったヒデオはいちいち覚えてないだろうけど、今あたしの中ではっきりした。
あたしだけは、他の女と違うんだ、ってこと。
……そんなの、前から判ってたことだけど。
どうして女は、定期的にそう言って貰わないと気が済まないんだろう。
例えば「あたしのこと、好き?」なんて訊く時だって、その質問を一番馬鹿馬鹿しく感じているのは、訊かれた男じゃなく、訊いた女本人なんだ。
判ってるのに、どうしてだろう……。
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