13.狂想

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  「俺、謝らないよ」  まだ夜の気配を残す朝の静かな空気の中、歩きながらジンは口を開いた。  え、と思わず立ち止まると、ジンも立ち止まる。  ゆっくりと振り返るジン。  その瞳が、深い悲しみに満ちていた。  さすがに、胸を刺されたみたいにツキンと痛む。 「マナのこと、ラブホに連れ込んだのは──最初はホントに、困って仕方なかったからだったけど。キスしようとしたことは……仕方ないだろ、俺も男だし」 「……別に、ジンのせいにしようなんて思ってないけど」 「『俺が』確認しておきたいんだよ。  ラブホとキスのことは、  完全に俺のせい。けど、そこから  先は──どっちのせいでも、ないだろ。  マナは拒まなかったし、  俺もマナの上からどかなかった」 「……ジン、真面目だね。そんなに50:50にしておきたいわけ?」 「……うるさいよ」  また、知らなかったジンの顔が見えた。  散々ジンに苛められたあたしの下半身は、いい加減眠らせてくれとばかりに無反応だけど。  って、男じゃあるまいし、いちいち反応する必要もないんだけど……あたし、ホント、バカ。 .
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