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明け方になって、何も言わないジンと一緒に始発に乗った。
少し前を歩くジンの背中を見ながら、不思議な感覚にとらわれる。
ほんの何時間か前、あたしはあの背に何度もしがみついていた。
汗だくになって、色んなものが混ざり合って、あたし達はひとつになっちゃったんだ、と錯覚しそうなほど、近くにいた。
それなのに今はもう、簡単に触れることすらできなさそうだ。
別にジンにベタベタ触りたいわけじゃない。
寝たからってあたしはジンのものになったわけじゃないし、ジンがあたしのものになったわけじゃないってことを、つくづく感じてしまっていた。
バカなことしたな……とは思うけど、後悔とはまた違う。
あたしが誰と寝ようがあたしはヒデオのものだし、ヒデオが誰と寝ようがヒデオもあたしのもの。
それは変わらないんだな、なんて思っただけだ。
だからこそヒトシくんは、身体の関係になんて頼ろうとせず、あたしのココロに揺さぶりをかけようとしていたっていうのに、実際やってみないと判らないものだな、なんて。
それはかなり愚かなことだと、自分を責めるでもなく、冷静にそう考えていた。
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