15.反転

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  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚ 「……あ」  買い物を済ませて、信号待ちをしていたときのことだった。  あたしと彼は、偶然隣に居合わせた。  顔を見た瞬間、同時に声を出してしまった。  ──ジン。  ヒデオとあたしが別れたのを目の前で見届けさせられたジンは、それでも無言で家まで送ってくれた。  それが、最後に会った日だ。  そのまま交差点でそそくさとサヨナラしてしまえるほど、ジンもあたしも薄情じゃなかったらしい。  どうしているかは、正直気になっていたから。  それでも、カフェなんかに入るほど落ち着きたくもなくて、ジンが買ってくれたあったかいココア片手に、バス停のベンチに腰を下ろした。 「……元気してた?」  口火を切ったのは、ジンだった。  あたしはうん……と小さく頷くと、冷めないうちに開けたココアを少しだけ啜る。 「真面目に学校行ったりしてるよ。年が明けたら、免許でも取りに行こうかなって思ってるんだけど」 「年始はけっこう混むよ」 「らしいね。でも、春休みまで待ってたら行く気なくしそうだから」  そっか、と笑って、ジンは煙草を取り出した。  くわえて火を点ける仕種を見ながら、あたしは手持ち無沙汰で、缶をゆっくりと回す。 .
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