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ジンは何か躊躇ったあと、まだ半分くらい残ってそうな缶の中に灰を落としながら、口を開いた。
「あのさ、最近エイユウ……会社の女……水沢エリと、ちゃんと別れたみたいだよ」
「え?」
「マナと別れたって知ってから、なんか、女の方も拍子抜けしたらしくて。ただマナとエイユウの仲を壊したかっただけなのかも。エイユウ、疲れた顔してそう言ってた」
「ヒデオと会ってるの?」
「ん、まあ……実はあれからもう1回、ガチの殴り合いして。そんでカタつけた、っていうか……まだちょっとだけ気まずいけど、ダイもいてくれるし、何とかね」
それを聞いて、ちょっとほっとしてしまった。
「ヒデオとジンの喧嘩の理由、青柳は判ってるの……?」
「うん。マナには悪いけど、ダイにはごまかせないから話した。俺らが疲れて殴り合いやめたら、今度はダイにボコボコにされた。エイユウも、俺も」
「ええ?」
「ダチ同士で女の取り合いなんてダサい真似すんな、って怒られた。俺は、エイユウより3発ほど多めにくらったけど」
そのときのことを思い出してか、ジンはクスクスと笑いを漏らす。
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