15.反転

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  「そのとき、思い出せるように。  ……エイユウね、言ったんだ。 『俺は手放す気なんてなかったけど、  そばで俺が生きてるだけで、  マナミを迷わせるし、傷付ける。  だから、別れるしかなかった』って」 「……」 「マナ、その意味、判る?」  一瞬で泣きそうになったから、口唇を噛みしめて我慢する。  追い討ちをかけるように、ジンがその続きを口にした。 「エイユウはね、自分の気持ちより、マナの気持ちを優先したってこと──あのデカイ何様男がそうやってまた、水沢エリに頭を下げたんだよ。自分も一番大事なものをなくしたんだからもう、許してくれって」  ジンはあたしの手のココアの缶を取って、それもゴミ箱に入れてくれる。  ガシャン、と乾いた音が響いた。 「その後、水沢エリは自分の足で、エイユウのオヤジさんとこ行ったんだって。色々あるから会社をやめることは出来ないけど、特別扱いをやめて、エイユウと違う部署に行かせてくれって言いに」 「……そんなこと言われたって……」 .
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