15.反転

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   あたし、ジンにもものすごくひどいこと、したんだよ?  震える声を隠すこともできずに、あたしは彼の顔を見た。 「だから、それは……あの晩もわざわざ確認したろ。マナと俺は、50:50だって」  ジンは、憂いのないすっきりした顔をして、にっこりと微笑んだ。 「だから、なしにしよう。お互いにあの夜のあれこれを責めたり、今さらどうこう言うのは」 「そんなの、できるわけ……」 「うん。なかったことにはできないけど……。残念ながら、色々、はっきり覚えてるし。けど、口に出せない罪の意識のひとつやふたつ、あってもいいんじゃないって」  そう言って、彼は帰っていった。  ジンがいなくなったのを見送ったあと、あたしは返してもらった携帯を見た。  そこには、マドカの連絡先がちゃんとあった。  ……それと、おせっかいにもヒデオのも。  バカじゃないの。  初めから選択肢になければ考えなくても済むから、あたしはできる限りまっさらにしようって、そう思ったのに。  携帯にヒデオのアドレスなんてあったら、またあたし、迷うじゃない。  会いたいけど、どうしよう──って。 .
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