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「どうしてあの日、俺から離れたんでしょうね。どうして、携帯を溺れさせたりしたんでしょうね」
「……」
「どうせやけになるなら、俺とにすればよかったのに」
「それは、あの」
「……俺ならそう言って怒るだろうって、判らないような人じゃないと思うんですけど。マナミさんは」
……お見通し、ってわけですか。
「まったく、腹立たしいことこの上ないですよ。マナミさんのあんなところやそんなところを知ってるオスが、更に増えるなんて」
ヒトシくんはブレンドを一口飲んで、ガチャンとソーサーに戻した。
「悪夢としか思えない……くそ、本気で頭にくる」
およそらしくない物言いに、ヒトシくんの怒りが窺えた。
「ごめんなさい……」
自分でも、何故謝らなければならないのか、よく判らなかったけど。
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