18.融解

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   余計なことを言った、と後悔した。  だけど、涙が出るほど悔しかったんだもん。 『誰とでもできること』とか、『その最初を水沢に奪われた』とか。  判ってるくせに、どうしてわざわざ、ヒデオの口からそんなこと聞かされなくちゃいけないの。  そんなの、自分だって同じなくせに。  それも、判ってるくせに。  ──ああ、そっか。  あたしがヒデオに抱かれてるとき、今死にたい、とか考えてしまうのはこのせいだ。  本当は、この腕の中だけで存在していたい。  狭い世界の中で、ヒデオだけを見て、ずっと。  だけど現実はちっともそうじゃなくて、あたしはすぐに揺らぐ。  自分でも、腹が立つくらい。  だから、ヒデオの腕に抱かれて、その幸せの中で、朽ち果ててしまえたら、なんて思うんだ。  まったく優しくない現実を、こうしている2人の間にしばしばちらつかせるヒデオに苛立って、あたしは逆らってしまうんだ。 .
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