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ぬるり、と引き抜かれて、血の気が引いた。
さっきの嫌な予感が全部のしかかってきた気がして、心臓がバクバクうるさい。
「信じられない、って顔だな」
ヒデオが、チッと舌打ちをする。
本気で苛立ったときの、彼の癖だ。
あたしは拒否することも逃げることもできず、そのまま固まった。
「……あー、もう。
俺がどんだけお前のこと好きか、
本気で判ってねえだろ。
これ、かわいそうだからやめとこうと
思ってたけど……しょうがねえな。
観念しろ」
そこにグッ、と押し付けて、ジェルのぬめりに導かれるまま、ヒデオは腰を進めた。
「──……っ!!」
悲鳴を上げちゃいけないと、とっさに思った。
ゆっくりと、確実に押し開かれるそこに、意外に痛みはなかった。
何故って……その直前に言われた言葉で、あたしはもう堕ちてしまったからだ。
枕に顔を押し付けて、あたしはその重みにただ耐えた。
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