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ちゃんと確認することを怖がって泣き出したあたしを、ヒデオは無理やり病院に引っ張っていった。
不思議なことに、かなり色々なことをされたのにもかかわらず、どこもそんなに痛みが残ってなくて、ヒデオの『ひどくしない』が本当なんだったと変な実感をさせられた。
病院の駐車場に車を停めながら、ヒデオは大きくため息をついた。
泣いたあとの目の腫れが治まったのを確認して、あたしは首を傾げる。
「……どうしたの」
「いや……できてたらお前の親に、なんて言おうかと思って」
すると、億劫そうにまた、ため息をついた。
「……いいよ、あたし、自分で言うから」
「そんなわけにいくか。バカか、お前は」
「だって……」
「お前ね、ガキみたいなこと言ってんなよ。マトモな挨拶もちゃんとしてねーんだぞ。ただでさえ分が悪いのに……」
ヒデオがブツブツとぼやいている。
あたしはその意味があんまりよく判らなくて、首を傾げた。
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