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ヒデオは、そんなあたしを見て、呆れたように肩をすくめる。
「あのな、男と女が一緒になるとか、犬や猫じゃねーんだから、そう簡単なことじゃねーの。女の方の親は、特に」
「……でも……」
そういえば、とあたしはハッと息を飲んだ。
「ねえヒデオ、できてたらあたし、産むの?」
「……お前、何バカなこと言ってんの」
「だって、あたしまだ何も言ってないのに……死ぬまでメシ作る? とか……」
「何が気に入らないんだよ」
ムッと怒った顔で、ヒデオはハンドルを握り締めた。
いや、あたしだって……それに従いたいけど。
ヒデオに言われて初めて、自分はそうしたいんだって判ったくらい、あたしは鈍いのかもしれないけど。
通過儀礼みたいなものが欲しいって言うか。
さっき、ヒデオ以外いらないって思ったのに、矛盾してるけど。
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