19.溺愛

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  「……なんか、ひどいよ、ヒデオ。あたしまだ何も答えてないのに、エッチしてくるし……」 「……聞く必要、なかったし」 「え?」 「お前の顔見てたら、答えくらい判るし、俺の言うことに喜んだことくらい……判るんだよ」  また、人のせいにする。  腑に落ちないけど、でも。  見透かされっぱなしの当のあたしは、そっか、と納得できてしまう。 「けど……」 「あー、お前、うるさい。ビビってんのは判るけど、時間稼ぎしても無駄だからな」  ため息をつきながらヒデオはあたしの左手を取ると、意味なくさすりながらキスしてきた。 「え?」  指に違和感があって、ヒデオが離れる。  あたしはふと自分の左手に視線を落とした。 「──……っ!」  息が、止まるかと思った。  水の流れのようにやわらかく波打つプラチナのラインに、小さなダイヤが桜の花びらの形になるよう模られた──指輪。 .
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