213人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
でも、それらの全てが本気でくだらないものでありますように、なんてガラにもなくこっそり祈ってみた。
ついばむようなキスを何度もして、ヒデオはようやくあたしをベッドの上に下ろした。
ヒデオはネクタイを緩めながらあたしを見下ろし、クッと喉の奥で笑う。
「……ホント、お前、お姫様抱っこ好きだよな」
「え……」
「いつも、そう。してやったらベッドの上まで来たときの顔が違う」
改めて言われると、妙に照れてしまう。
とっさにあたしがうつむくと、ヒデオは解いたネクタイを床に落として、ベッドに腰を下ろした。そのまま、あたしの顔を下から覗き込んでくる。
「さすがに、俺しか知らないよな? これ」
イタズラっぽい瞳が、あたしを窺っていた。
試されているのだと判って、あたしは顔を上げる。
「……うん、ヒデオ以外にはこんなのされてない。っていうか、とっさにお姫様抱っこできる人なんて、そうそういないよ……」
「オッケー。じゃあ、次」
「待って、な……何?」
「黙って任せてろ。すぐ、判るって」
.
最初のコメントを投稿しよう!