22.箱入り魔女

3/27
前へ
/27ページ
次へ
   思い切り辱められているような気がする。  複数の視線に囲まれて、あたしはとてもいたたまれない気分になっていた。  いやだ、もう、恥ずかしい。  早くここから逃げたい。  うつむくあたしの手をヒデオが握っているから、ささやかで刹那的なその願望さえ叶いそうになかった。  取り囲むマドカと青柳とジンは、揃ってあたしのお腹に視線を注いでいた。  ジンからも言われていたけど、ヒデオにも言われてしまって、あたしはこわごわマドカに連絡したのだった。  そうしたら、マドカの怒りはいつのまにか心配に変化していて、あたしからの電話をとても喜んでくれた。  てっきり、またひどく怒られるだけだと思っていたあたしは、胸を撫で下ろしたけど。  ただ、この場にジンがいることが少し居心地悪い。  彼は何も悪くないけど、ヒデオの前で彼と顔を合わせるってこと自体、別れたあの日以来なんだもの。 .
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

219人が本棚に入れています
本棚に追加