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思い切り辱められているような気がする。
複数の視線に囲まれて、あたしはとてもいたたまれない気分になっていた。
いやだ、もう、恥ずかしい。
早くここから逃げたい。
うつむくあたしの手をヒデオが握っているから、ささやかで刹那的なその願望さえ叶いそうになかった。
取り囲むマドカと青柳とジンは、揃ってあたしのお腹に視線を注いでいた。
ジンからも言われていたけど、ヒデオにも言われてしまって、あたしはこわごわマドカに連絡したのだった。
そうしたら、マドカの怒りはいつのまにか心配に変化していて、あたしからの電話をとても喜んでくれた。
てっきり、またひどく怒られるだけだと思っていたあたしは、胸を撫で下ろしたけど。
ただ、この場にジンがいることが少し居心地悪い。
彼は何も悪くないけど、ヒデオの前で彼と顔を合わせるってこと自体、別れたあの日以来なんだもの。
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