22.箱入り魔女

4/27
前へ
/27ページ
次へ
   どんな顔をしていればいいのか、徹底的に判らない。  最近気付いたけど、あたしはこういうのがすごく苦手だ。  解こうとしてしまったものを、もう一度結び直そうとすること、とか。  もつれるのも、こじれるのも、いつだって簡単なことだけど。  もう一度繋ぐことは本当に難しくて、ああしてみようこうしてみよう、っていう見当すらあたしにはつかない。  その度、不器用でもこうして歩み寄ってくれて、教えてくれる人たちが周りにいること。  そういうことに、あたしは気付かなすぎだって心底思った。  ヒデオとだって、彼があたしなんか追うことをやめてしまっていたら、今頃途方にくれていたのはこっちの方。  判りにくいけど、嘘のない気持ちっていうものを、あたしも少しでも返してあげたいって初めて思うんだ。 「──で、結婚するんだよな。いつ?」  クリームソーダのアイスを無意味に崩して溶かしながら、意外にもジンが口を開いた。 .
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

219人が本棚に入れています
本棚に追加