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どんな顔をしていればいいのか、徹底的に判らない。
最近気付いたけど、あたしはこういうのがすごく苦手だ。
解こうとしてしまったものを、もう一度結び直そうとすること、とか。
もつれるのも、こじれるのも、いつだって簡単なことだけど。
もう一度繋ぐことは本当に難しくて、ああしてみようこうしてみよう、っていう見当すらあたしにはつかない。
その度、不器用でもこうして歩み寄ってくれて、教えてくれる人たちが周りにいること。
そういうことに、あたしは気付かなすぎだって心底思った。
ヒデオとだって、彼があたしなんか追うことをやめてしまっていたら、今頃途方にくれていたのはこっちの方。
判りにくいけど、嘘のない気持ちっていうものを、あたしも少しでも返してあげたいって初めて思うんだ。
「──で、結婚するんだよな。いつ?」
クリームソーダのアイスを無意味に崩して溶かしながら、意外にもジンが口を開いた。
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