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大きなお腹の君が
お腹が痛い
と言い出して
時間を測りながら
病院に電話をしていた
僕はオロオロするばかりで
気がつけば車を運転していた
痛がる君にかける言葉も見つからず
腰を摩って
僕はずっとオロオロし続けた
夜明けとともに
新しい命が君から出てきた
初めましてのはずなのに
とても初めてとは思えない
小さな命が君から出てきた
汗にまみれて
髪の毛が貼りついた君の顔は
とても輝いて見えた
初めましての小さな赤ん坊は
あっという間に僕たちから
引き離されてしまったけれど
このご時世だから仕方がない
生まれたら
君にかけたい言葉がたくさんあったはずなのに
胸がいっぱいになって
なにも言えなかった
赤ん坊にもかけたい言葉があったけれども
引き離されて言えなかった
僕たちのもとに戻ってきたら
何度も言うよ
僕と君との間に
やってきてくれてありがとう
僕たちは
今も幸せだけど
もっともっと幸せになるよ
泣いたり笑ったり怒ったりしながら
もっともっと幸せになるよ
いつだって
僕は幸せ
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