香が影の 舌に聴こゆる 菊の酒

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<季題> 菊の酒、または菊 <季節> 重陽の節句 香: か。嗅覚に訴える刺激ではあるが、特に口腔から鼻腔へ抜けてゆく香り。 が: 連体格助詞。属格。 「の」に置き換えて読解すべし。 影: 即ち、すがた。視覚的に映ぜられて感知される像。 の: 格助詞。主格。 「が」に置き換えて読解すべし。 舌: 味刺激を感知する感覚受容器。ただしここでは、香も同時に「聴く」という形で感知するものとする。 また、「下(即ち、同時に『もと=本・元』)」との掛詞を成す。 聴こゆ: 正しくは「聞こゆ」。 ただしここでは、「聴香」を示唆するため、「聴」の字を用いる。意識を向け「聴く」べく備える中「聞こえ」てくる様、と解釈すべし。 連体活用は下の句全体に掛かる。 また、「菊」との掛詞を成す。 菊の酒: 即ち、重陽の節句。
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