冬の夜 彼が頌歌ぞ 代々を越ゆる (字余、乃至非定形)

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<季題> 冬、または冬の夜 <季節> 12月25日以降数日、乃至数週間(ただし、特に夜間に限定) 冬: 「暗」・「冷」・「寂」等の象徴、転じて死の象徴。 夜: よる、乃至はよ。象徴するものは冬に同じ(ただし死は除く)。 余談ながら、史的イエス(即ち実在したと思われるナザレの大工)が冬の夜に誕生したことには異説が少なからず有る。これらは、降誕節礼拝の慣習が原始キリスト教になかった点、(西ローマ帝国衰退の一因たる)ゲルマン人が古来営んだ「冬至祭」を採り入れ折衷的布教を余儀なくされたであろう点等に、起因する。 彼: か。狭義にはイエス、頌め讃えられる対象。 転じて広義には、ナザレ・ガリラヤやベトレヘム・イェルサレム・ユダヤは勿論、時空不問で存在するほめ人・うたい人の一人一人(天使もまた含む)、即ち頌め讃える主体を指す(ただし、集合的総体ではなくあくまでも個々)。 頌歌: ほめうた。『降誕』という『神の(御)業』を頌め讃えて響かせられた歌。 ぞ・越ゆる: 係り結び。強意主体だが、詠嘆(と願望)もここでは含まれる。 また、末尾の「ゆる」は夜(よる)と音韻的に呼応。 加うるに、旋頭歌の答歌と見做す場合に付加される終助詞「よ」は代々と音韻的に呼応。 代々: よよ。字義的には諸時代を指すが、ここでは時空超越を含意。 また、夜(よ)と掛詞を成す。
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