17人が本棚に入れています
本棚に追加
もうすぐ約束の19時になる。
真っ赤な傘が遠くから現れた。
サクサクと、
雪綿を踏む足音が、
教会の鐘の音でかき消されそうになりながら、
近づいてくる。
「来たよ」
そう彼女は、真っ白な息を吐き告げた。
満面の笑みを
じっくりと眺めた後、僕も微笑を返す。
彼女の首に巻かれたマフラーは
僕と同じ色で、
ほんの少し屈んで
鞄の中をさぐる彼女の首を彩り、
ゆらゆらと揺れていた。
「ハイこれ、クリスマスプレゼント」
最初のコメントを投稿しよう!