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「ひ、人の事を馬鹿馬鹿って何度も言うな!馬鹿って言う奴が馬鹿なんだぞ!」
結局彼が口に出来たのは、よく聞く小学生レベルの返しだけだ。
「もう少しマシな事言いなさいよ…」
とりあえず言いたい事は吐き出したのと、あまりに低レベルな返しに怒る気も失せてしまった彼女は、なんでこんなのが幼馴染みなんだろうと頭を抱える。
抱えたついでで、茜は誠一がなぜこんな事を言うのかに考えを巡らせる。そして導き出した答えは、有り得ないと思いつつも、僅かながらも心のどこかで期待する気持ちが含まれていた。
「あ~、解かった~」
明らかに見当違いだなと彼女の顔を見ながら誠一は感付いていたが、微妙な艶っぽい仕種をしている彼女が何を言い出すつもりなのかと、誠一は茜の予想に耳を傾ける。
「幽霊が出るからって、あたしに巫女さんの格好で御祓いの真似事でもしてほしいの?」
「お前の?巫女姿?」
筋違いな事だと思いつつも、怪訝な表情をしながら目の前に立っている茜の巫女姿を想像する誠一。人の心情を察する余裕はないくせに、そういう妄想を膨らませるだけの余力はあるようだ。
そして、彼の頭の中に浮かび上がった彼女の巫女姿の図を見た感想はと言うと。
「いまいち萌えてこないな…」
「失礼な奴」
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