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世界樹の近くにある小さな村グラーズ。人口50人程の村人の中にとある血の繋がらない兄妹が住んでいた。
それ自体は不思議ではない。ある一点を除けばだが。
兄の名はアル。彼はれっきとした人間。
妹はルル。彼女は妖精である。彼女がどうやって生まれたのかは全くわからない。アルの両親が森の中で拾い育てた。
妖精そのものはある程度認知されている。
高い魔力を持ち、精霊に近い存在。しかし、大抵は小さな身体の上に警戒心が強く、人や動物に姿を見せること自体珍しい。
一方、ルルは同年齢の人間の子供と、何ら変わらない姿をしていた。魔力そのものは強く、村では唯一の魔法の使い手である。
村は世界樹と星晶、双方の恩恵があり、更に樹海に囲まれて侵入する者も少なく平和に過ごしていた。
しかし、その平和も終わりを告げようとしていた。
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