2ー3 紫色の悪魔

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ネリー「寝言?私は起きてるよ」 今度はきょとんとした表情で首を傾げ、ボケてみせる。 否、単に無垢の表れなのだが、サレを苛立たせるには十分過ぎる。 シング「あれ、ネリーちゃん。俺もしかして空気か?」 ネリー「あ、ごめんシング」 もはや漫才だ。シングにも余裕が生まれていた。 サレ「黙れ、黙れガキ共!」 サレはついに激昂し、ネリーに斬りかかる。だが、感情任せの剣は激しくとも単調。シングとヴェイグに防がれ、サレの方が傷ついていく。 一方、 (あいつのせいで皆が。ここで仕留める!) ネリー「ハアアアアッ!」 高まる感情、初めて感じる本当の怒り。気合いと共に爆発的な力が立ち上る。 初めて発動させるレディアント・ドライブ。 一時的に体内のマナの出力を最大まで引き上げる。これにより、魔法や気を込めた技の連続使用が可能となる。 ヴェイグとシングも力の放出に気付き、サレから離れ、すかさず、標的を二匹のウルフに切り換える。 ネリーははっきりとサレに狙いを定めた。 ネリー「いくよっ!」 それからは一方的だった。炎、稲妻、冷気、岩。ネリーの全力の魔法がサレを打ちのめした。 ヴェイグ「これ程とはな」 シング「ネリーちゃん、凄いや」 既にウルフを倒していたヴェイグとシングも、驚くしかない。 だが、尚もサレは生きていた。剣は砕け、服はボロボロになって荒い息をつきながら、気力で意識を保っていた。
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