最終話

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最終話

 あの人は桜に似ている。  寡黙なようでいて激情を迸らせ、  鋭利なようでいて哀しいほど繊細。  華奢なその身は淡く、儚く、  だからこそ凄絶なまでに美しい。  だけどあの人は気付かない。  一途な恋をしているせいで。  本当に、呆れるほどに盲目だから、  自分の咲く場所が眩しいことにも、  きっと、気付いていないんだろう。
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