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訳が、分からない。頭がどうにかなりそうだった。
「で、だ。私はこの答えに辿り着くまで、ずっと考えていたんだ、君の異常性について。」
「異常性……?」
「そう、異常性。例えば、君が何故勇者召喚の陣に侵入することが出来たのか。あの陣はね、勇者として相応しい人物以外は、跳ね除けるように魔法が組み込まれていたんだよ。」
その先の、神が言うことは、何故か予測できた。
「君が居た世界。地球で勇者に相応しい人物は二人だけ。もう解ってると思うけど、蒼ちゃんと龍騎君の二人だ。君があの陣に入れるはずがないんだよ。」
頭が、悲鳴を上げて鳴き叫んでいる。
ああ、もう、
「気が狂ってしまいそうだ。かい?」
「ッ……!!」
「そうだね。確かに常人なら気が狂っても可笑しくないかもしれない。でも、君は違う。」
「………何が…言いたい……」
「覚えてるかい?あの真っ白な空間で過ごした五百年。」
忘れるはずがない。後にも先にも、あれほどキツかった時はない。
神は語り始める、俺を。
俺の、存在を。
「君は、あの五百年で一度たりとも気が狂った事などないだろう?勇者の蒼ちゃんでさえ、君の十分の一の時間しか過ごしていない蒼ちゃんでさえ、何度も気が狂ったというのに。」
「君は異常だ。異質だ。異形だ。ありえない。あり得てはいけない。でも、今ここに、確かに君は在る。何故、君のような異常が、勇者召喚の陣に侵入するまで、私の目に止まらなかったのか。」
「奇跡と偶然と必然と、その他諸々が合わさって出来た存在が、君と何処かの世界の君だ。」
「蒼壱君。私はね、君が怖い。私の作った大前提を覆した君が。私の『声』を自由に操る君が。」
「ちなみにね、何処かの世界に君以外の君が一人だけ生き延びている、と言ったけど。何処かの世界の君が今も生存している事は確信できた。でも、何処の世界にいるかは分からない。」
「私が全力で捜索しても分からない。『声』を使っても何処に居るか分からない。」
「すまないね、蒼壱君。冷静に考えたら、君の『なんなんだよ、俺は』という疑問には答えることが出来ない。何故なら君が異常だという事しか分からなかったからだ。」
「そこで、今度は私が問おう。」
「君は、何だ?」
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