この時を待っていた。

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ピピピピピピ………。機械的で規則的な音が頭上で鳴り響く。 何の音かと聞かれると答えるとすれば、昨夜、今日の午前6時に鳴るようにセットした目覚まし時計である。 未だにうるさく鳴り続ける目覚まし時計を止め、薄目を開けて現在の時刻を確認する。 現在時刻。6:00 よし、時間はぴったりだ。さすが俺。 まだ寝ていたいと叫ぶ上半身をベッドから無理矢理起こし、うんと伸びをする。 部屋を見渡すと、壁には何人もの嫁が笑顔で俺の顔を見ている。 嫁に囲まれて起きる朝。ああ、なんと素晴らしいことか。 おはよう、嫁諸君。今日も笑顔が素敵だな。愛してるよ。ぐへへへへへ。 朝から幸せな気分だ。ああ、今日は何だか良い事がありそう。そんな気がする。まあ、いつもの朝と何も変わらないが。 嫁達への朝の挨拶を済ませ、朝食を用意する事にする。 一階に降り、キッチンへ向かう。今日はなににしようか、朝だから軽めの物がいいな。 「…………うし、サンドイッチでいいか。飲み物は牛乳だな。さて、そうと決まればまずパンを切って………」 朝食の用意を進めること10分。二階から、ここ一階へ降りてくる足音がする。 この家には俺を含めて2人しかいないから誰の足音かなど、わかりきったことなのだが。 「…………おはようございます。お兄ちゃん………」 相変わらず朝に弱いようだ。寝ぼけ目をこすり、どことなく不機嫌な声で挨拶をしてくる。さらさらの髪には、爆発でもしたのか、と聞きたくなるほどの凄まじい寝癖がついている。 「おう、おはよう蒼(アオイ)。寝癖ひどいぞ。もうちょっとで朝めしできるから、その間に顔洗って髪直してこい。」 「……はーい。」 蒼はのろのろとした足取りで洗面所に向かって歩いていった。 この日、彼、空島蒼壱(ソラシマ ソウイチ)の朝はいつも通り、何の変化もなく始まった。 この日は彼の野望が叶う時だということなど何も知らずに。
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