この時を待っていた。

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「よっしゃ、こんなもんか」 朝食が出来上がり、皿に盛り付け、牛乳をコップに注ぎ、2人分のサンドイッチがのった皿と牛乳が注がれたコップをテーブルの上におく。 うむ、我ながら上出来だ。素晴らしい。 「ただいま戻りました。先程はお見苦しい姿を見せて申し訳ありませんでした。お兄ちゃん。」 お前はなんでそんなに堅苦しいんだよ、とツッコミを入れたくなる独特な口調で声をかけられる。振り向くと、そこにはあり得ないくらいの美少女が立っていた。 寝ぼけ目と寝癖は完璧に回復し、ぱっちりとした目に、さらさらの髪の毛、整った顔立ち。160ほどの身長。出るとこは出て、締まるところは締まっている身体。完璧な美少女。俺の妹の空島蒼だ。 そして蒼の実の兄の俺。普通だ。探せばその辺にいそうなくらい普通だ。特に引き締まったところのない体だ。かといって太っているわけでもない体だ。でも体力は平均的だ。170ちょいの身長だ。フツメンだ。もう一度言おう。フツメンだ。 まさしく、俺の妹がこんなに可愛い訳がない。そんな兄妹だ。時々スペックの違いに死にたくなる。 だが、この妹。ブラコンである。自分で言うのもあれだが、この妹は確実にブラコ ンだ。 この妹が夜這いをしてくるたびに言っている「俺達は実の兄妹だからそんなことしちゃダメダメよー」という言い訳もいつまでもつか。時間の問題である。 要するに、実の兄の童貞を奪おうとするレベルのブラコンだ。 そして俺は誰に説明しているのか。なんとなくだが、それを考えてはいけない気がする。 「おう、ちょうど朝飯もできたぞ。さあ、食らえ。俺特製サンドイッチだ。略して俺イッチ。食らえ。」 「相変わらずのネーミングセンスですねお兄ちゃん。そんなところも愛しいです。結婚しましょう。いただきます。うん、美味しいです俺イッチ。」 なんか前半がおかしかった気もするが、きっと気のせいだ。 そして俺イッチをうさぎのごとく、もっもっ、と食す蒼。完璧に小動物である。萌えたのは内緒だ。
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