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「田村くん、ちょっと、いい?」
とある昼休み、麻衣は恥ずかしそうに正人を呼び出した。
正人は、理解ができないまま、麻衣の去って行った方向を眺めていた。
クラスメイト達は、そんなあっけにとられた様子の正人を促した。
「ほら、田村君、何ぼけっとしてるの。早く麻衣のところに行ってあげて」
そして今一理解ができない様子の正人をクラスメイトは生暖かく見守っていた。
正人は、麻衣が去って行った方向に歩いていき、校舎裏にたどり着いた。
そこには、麻衣が顔を真っ赤にして待っていた。
これは、と思った正人の手に、何か冷たいものが渡された。
「はい」
麻衣が正人に手渡したのは、一組の……知恵の輪だった。
「これを解いて、わたしのところに来てちょうだい」
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