怨霊屋敷

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緊張していたね。ここに来て、地下に有るモノの取っ掛かりが掴めた。 須藤の言う通り十中八九、埋もれた屋敷内に有るのは栄光の手をアレンジした呪物だろう。左道に傾いてる呪術だからな、アレンジ次第で随分怖い物になっているみたいだ。 ま、モノを取って来てしまえばこっちのもんさ。原因が手に入れば呪い返しの術が使えるし、手ならそれこそ手っ取り早く荼毘に服すのも良い。 四郎児さんも蒼子さんも須藤も、皆して硬い顔しているが行くのは俺よ。 火縄の奴は、獅子雄を追って飛び出しちまうし。 あの親子の間に何が有ったかは知らんが、共に下法の使い手。相当酷い事が行われたみたいだな。 加護さんが絵を見張り、ヒーラーが和森さんと瑞穂ちゃんを見ている筈。 サイレントの二人はまだ帰って来ないが、もたついている場合じゃないしな。 目的地が見たことのない場所ってのは敵わねえが仕方ない。 「須藤、ここは任せる」 「祭さん、貴方は怪我をしています。どうか無理をしない安全な方法を取って下さい」 果たして何が安全かねえ。 四郎児さんの言葉を無視して影渡りを行おうとしたら、奥さんの蒼子さんまでもが俺を止めた。火縄の殺気に当てられて動けないと思ってたが、気丈だね。俺の腕を掴んで、すがり付く様な眼で見上げて来る。 「お願いです。夫の言う通り、安全な方法を取って下さい」 まあ腕を掴まれていちゃあ、蒼子さんまで連れて行ってしまう。おいそれと影を渡る事も出来ず、俺は室内に残る三人の顔を順番に眺めた。 「外では緑の絵の女が何か仕掛けて来る可能性が有る。今でこそ屋敷内は結界で閉じているから平気だろうが、敷地内までは大掛かり過ぎて何も出来てないんだろ」 行くための口実を口にしたが、無言で見つめ返されるのみ。 あらま、本当に皆さん揃って反対なのね。 「祭、女は動く気配が無い。昨日見つかった穴から行け」 須藤の奴、命令口調で言いやがって。夫婦揃って泣き付かれちゃ、やり難くてしょうがないし、仕方ないか。 ん? 実はビビってるんだろうって。お好きに想像して下さいな。 結局、俺は穴の場所を聞いて、しぶしぶ狭いマンホールにたどり着いたよ。 場所は屋敷の鬼門方向。……それよりは東寄りか。 大福が示した方向と同じだった。
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