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黒子は席を立つと花宮の読んでいた本を手に取った。
花宮がどのようなジャンルの本を読んでいたのか興味があったからだ。
「これは…」
「なんだよ、俺がこの本を読んじゃいけないのかよ」
「いえ、ただ…」
黒子は再び本に目をやった。
何度も見たタイトル。
何度も見た表紙。
それは間違いなく黒子のお気に入りの本の内の一つだった。
「んだよ、早く返せ」
「あっはい…」
花宮と好みが同じだったことに驚きを隠せない黒子は、思わずじっと花宮を見つめてしまう。
花宮はそんな黒子の様子に気付かずに、取り返した本を元の場所へと戻しに行った。
黒子はただただ、花宮の面影の残滓を見据えていた。
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