ハジマリの夜――prologue

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散々、 散々、正面からグズグズにしたくせに。 最後の最後で体が反転する。 あたしは壁に手を付いて、シーツに額を埋めて、窒息しそうな真っ暗な世界で、――見る。 研ぎ澄まされた世界には、泣いてるタネの顔しか見えない。 ね、タネ。 ごめん。 ほんとは、知ってるんだ。 決壊ギリギリなのは、お互い様。 あたしの背中に落ちてくるソレが汗なんかじゃないこと、知ってる。 でも、言わない。 そんな顔、タネじゃない。 あたしの知ってるタネじゃないから、知ってるけど、知らないフリをする。 「――――……あ」 繋がったカラダの少し下、滑り込んだ指が腫れ上がる脈に触れた。 途端に崩れそうになったあたしの体を易々と支える片腕は、恥ずかしいくらい震える心臓を鷲掴む。 気が変になるくらい容赦なくて、 泣き叫びたくなるくらい優しい。 そんなトドメの刺し方を、彼は仕掛けてくる。 「リンてさ、体だけは素直だよな」 だけどギリギリのところで、またそうやって引き留めるから、 「ッオッサン…っ、そゆこと、言うなッ…」 やっぱり彼は、意地悪だ。 「ホントだし。ここ、スゴいことんなってる」 あたしを抱くのはタネだけど、 あたしが感じるのはタネじゃない。 どっちでもいいけど。 なんとなく、分けなきゃ、例え紙一重の曖昧さでも、どっかで区切らなきゃ、
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