越えられない壁

10/25
前へ
/40ページ
次へ
「何かあったの?」 ポツリと聞かれたその質問には 何も答えられなかった。 きっとあんな話をしたら 和成さんは私を嫌いに なってしまうだろうから。 無言の私に彼は小さく ため息をつくと 私の肩を抱く手に 微かに力を込める。 「言いたくないなら 今は無理に言わなくてもいい。 だけど奈緒の苦しみを 俺は全て消し去ってやる」 和成さんの柔らかい声が 紡いだ言葉に胸がトクンと 小さく鼓動した。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

976人が本棚に入れています
本棚に追加