第1話

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「ほら、終わり。いい加減そういうの卒業しろよ」 センセーは綺麗に包帯を巻いたばかりの肩の傷口を、ぺちんと叩く。 「って」 「その程度の痛みが嫌なら、喧嘩なんかよせばいい」 ……分かってねえな、この人は。 怪我こさえてくんのは、ただの口実、だろうが。 さっさと着ろ、と促されて、しぶしぶシャツに袖を通す。 肌蹴た身体を隠していく白布、ひとつずつボタンを留めていく指先にじっと視線を感じた、気がして。 動きが緩慢になる。 「……何」 何、見てんの? そーゆーのやめて。 期待、すんだろーが。 「いや、別に? いい腹筋してんなーと。スポーツでもやればいいのに」 ほら、そうやって。 気ぃ持たせといて、すぐ落とす。 週2、3回ここに来れる頻度で怪我できるスポーツって、何よ。 「そんなに嫌なの、俺がしょっちゅうここに来ること」 迷惑なのかよ。 ――気付いて、いるから? うーん、と眉を寄せて考え込んだのは、体のいい言い訳を探しているからなのか。 そうだよな、気持ち悪ぃって思ってんだろ。 「確かに、不快だね」 ……うわ、直球。 体のいいどころじゃねえ。 もうちっとオブラートに包めや。 凹むわ、マジで。
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