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どんな顔してそのストレートを放ってきたのかなんて、見たくもなくて。
俯いたまま、最後のボタンを留めた。
「……もう、来ねえよ」
そんなに不快なら。
拒絶は覚悟してたから、伝える気なんてさらさらなかったのに。
その前からフラれちゃってる俺って、一体なんなの。
そりゃセンセーから見たら俺なんて。
ただの患者の1人で。
ただのいきがった生意気なガキで。
ただの……
それ以前に。
男同士、とか。
きっとこの人には、ありえねー。
俺だって。
センセーにハマるまでは、当然そう思ってた。
男同士とか、マジありえねーから。
不快、……か。
「誤解しているようだが」
「は?」
そのまま立ち去ろうと上着を掴んだところを、呼び止められる。
あのどストレートの、どこに誤解のしようがあったか。
まんま言葉の通りじゃねえか。
「不快なのは――」
「ちょ、セン」
な、んだ、コレ。
留めたばかりのボタンが、
「何、して」
外されていく。
「センセ、ちょっと」
この、ヒトの、手で。
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