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私は部室の中を見回した。
壁側にはロッカーが並んであり、真ん中に長机と椅子がロの字に並んでいる。
美術サークルらしく、キャンバスが雑然と隅に重ねられていた。
まだ朝だからか、崎村さん以外誰もいない。
そして、崎村さんは奥のロの字の端っこで寝ている。
私は足音を発てないように、そっと近づき、机に伏して腕の中にある崎村さんの顔を覗き込んだ。
やっぱり綺麗な顔してるな~。
睫毛ながーい。
中性的な顔立ちだよね。
女装したら、似合いそう…
あ…
右瞼の端っこに小さなホクロがある。
昨日は崎村さんが私をガン見してたけど、今は私がしてる。
ま、起きてたら、こんなイケメンをガン見する勇気はないから、今のうちだね。
「フフッ…」
綺麗なあどけない寝顔を見てると、昨日の悪魔はやっぱり天使にしか思えなくて、なんとなく笑ってしまった。
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